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U住建の資金調達の窓口として全面的に協力したのがH銀行と、N興業銀行(当時、現在は、Mフィナンシャルグループ)系の住専、Nハウジングローンである。
八七年二一月、U住建とH銀行系のノンバンク、HGファイナンスが母体となって0ファイナンスが設立された。
初代社長のHはH銀の元取締役業務推進部長。
専務のKは同元審査部次長である。
このとき、大阪に本拠を置くK銀行、S銀行からも常務が派遣されている。
ノンバンクである0ファイナンスは住専や都市銀行、地銀、生保などから総額三000億円を借り入れ、この資金の大半がU住建グループに因されていた。
H銀行系のノンバンク二社は0ファイナンスに一00億円融資していたが焦げ付いてしまい、九五年四月、会社整理と特別清算に追い込まれた。
H銀行とYのつきあいは「H銀行の大阪府下にあるM支局がルーツ」といわれた。
M支局の支庖長など幹部行員が0ファイナンスの歴代役員に就任しているのはこのためだ。
「当社の株主総会にYが顔をみせたことも数回ある」と、H銀行の、前出の総務部の幹部が証言するほどの深い関係がずっと続いていた。
大阪の中心部に派手な看板を掲げるS興産やA住建とちがい、U住建はこれまではどちらかといえば地味な存在だった。
U住建の株主としては、K銀行、H銀行、Mファイナンス、Kファイナンス、Nファイナンス、S生命保険、H銀キャピタル、NTS銀行(当時、現在のS銀行)などが登場したノンバンクなど。
本題に戻る。
バブルが崩壊し、KK(K国際空港)ブームも去り、地価は急落した。
残ったのは不良債権の山。
HGFとHリースは多額の不良債権に耐え切れず、一九九五年に相次いで、会社整理と特別清算を・申し立て倒産した。
負債額はHGFが一二二七億円、Hリースが二二九億円だった。
Hの破綻劇の第一幕が系列ノンバンクの倒産だったことを皆様の記憶にとどめるために、もう一度、系列ノンバンクの顛末を書いた。
系列ノンバンクの行き詰まりまでのシナリオを書いたのは大蔵省(現・財務省)だった。
系列ノンバンク倒産の責任を取れと大蔵省から厳しく迫られ、五代目頭取だったHは詰め腹を切らされた。
「辞めてほっとした」とHは周囲に語り、それまでの能面のような表情がゆるんだ。
Hの退陣によって、創業以来続いてきたH・Kの一族支配は終わった(Hの突然の死については冒頭で述べた)。
系列ノンバンクを仕切っていたHはHの前委・Nの子で、通称はジュニア。
Hの後添いでHHの女帝と呼ばれたAとは不仲で、副頭取のKともことごとく対立していた。
Aは、元首相でJ党の有力者だったHの夫人と親しかった。
Kとジュニアの仲が険悪になったのは、Hの後妻・Aの連れ子、M取締役(後妻の子のMまで役員にしていた)の処遇をめぐって対立したためだとされる。
MはHの後妻に反抗しただけでなく、その連れ子のMにも当然、批判的だった。
「(Mに)辞任を迫ったこともある」(H銀行の総務担当の元幹部)。
これに対して、KはAと良好な関係にあった。
この時期、Hの経営陣二人のうち、「五人がHと姻戚関係にあった」(前出の総務担当の元幹部)。
ジュニアが、系列ノンバンク二社の資金調達先であるN貿信から「三0億円を個人的に借りていた」(同)事実を近畿財務局は把握していた。
系列ノンバンクを統括する最高責任者が、取引先から個人的に金を借りることは地位の乱用であり、公私混同である。
パンカーとしてのモラルが厳しく問われる重大事件である。
「公私混同は、私が最も嫌うところだ」。
悲劇の頭取・Hの口癖だった。
三0億円の件についても、このセリフを繰り返した。
Hが悲劇の頭取と呼ばれるゆえんは、頭取在任期間の三年の問、「当初はKとの対立に明け暮れ、Kの死後も、経営再建に向けて何も具体的な手を打てなかった」(近畿地区の有力地銀の頭取)からだ。
「創業者のH一族がHを食い潰した」。
倒産後、H銀行の有力支庄長はこう総括したが、幹部行員だけでなく一般行員の思いも同じだったろう。
H銀行の発祥の地である和歌山県田辺市の取引先約六0社でつくる「H会」は、「過剰な不動産融資に走った旧経営陣と、再建に失敗した現経営陣を対象に株主代表訴訟を起こす準備を進めていた」(H会の有力企業)。
そして、一九九七年五月末、田辺市の株主七人と、三つの法人が二0八億五000万円の賠償を求める訴訟を起こすよう、H銀行の監査役に請求した。
三0日以内に監査役が訴訟を起こさなければ、株主代表訴訟に踏み切ることにしていたが、実際に踏み切ったのは、H会のM会長などだけだった。
H銀行の監査役に郵送された文書は、同行は一九八九年から九二年にかけて、担保不十分のまま違法・不当な融資や債務保証を実施した。
具体的には、@系列ノンバンクのHリース、Hギャランティ・ファイナンスへの一八0億円A住宅金融専門会社(住専)の最大の借り手だったU住建への一五億円B国土利用計画法違反事件で大阪地検特捜部に摘発されたW開発(和歌山市)の関連企業、S土地開発(同)への三億五000万円@、A、Bの回収不能分と、C九七年五月二三日、大蔵省の業務停止命令の処分取り消しの行政訴訟を断念し、H銀行が再起不能になった責任分の一0億円それぞれの時期の役員全員に対して損害賠償請求を求めるとなっていた。
H会のM会長は「銀行経営者全体に警鐘を鳴らすつもりで訴訟に踏み切った」と、当時、語っていた。
「大蔵省がなぜHを犠牲にしたのかも、裁判で明らかにしていきたい」としていたが、その望みはかなわなかった。
結局、三億一二00万円の賠償を求めた。
株主代表訴訟は二000年二月一五日に和歌山地裁で請求を棄却された。
株主代表訴訟は不発に終わった。
H銀行を潰すことに手を貸した頭取と糾弾されたのは六代目頭取のNである。
「大蔵省が送り込んできたトロイの木馬だけに、責任は重い」(H銀の和歌山市内の有力支庖長)で一致する。
「一般行員の最後の一人の再就職が決まるまで、和歌山に留め置く。
絶対に逃がさない」。
感情的な反発をした従業員組合の幹部もいたほどだ。
Nについて、和歌山県外のHの有力支庖の支店長がおもしろいことを言っていた。
「Nの責任は二つ。
正式に業務停止命令が出される一週間ほど前の二月一三日に、大蔵省から「倒産」を申し渡されていたのに、第二地銀協会の頭取会に『何もなかったような』顔でのうのうと出ていたこと。
自分の銀行という意識が少しでもあって経営責任の意味がわかっていれば、すぐに本店に飛んで帰ってきて、役員や幹部行員を集め「業務停止命令にどう対処するか」を協議するはずだ。
ところがNは生え抜きの幹部行員をまったく信用していなかった。
このことだけでも、万死に値する。
もう一つは「東京で同日、決算の行司役のA監査法人に呼び出されて、大蔵省と監査法人が二人三脚で仕組んだ破綻劇に一枚噛んだこと」。
A監査法人の当時の会長は大蔵省の有力0Bだった。
A監査法人は大蔵省の方針変更を察知して、突然、決算に対する態度を豹変させた。
「この決算は承認できない」というA監査法人の決めゼリフに乗って、一気に幕引きに持ち込むという大蔵省の筋書きにNは加担した。
Nは、首吊り状態だったH銀行の足を最後に引っ張った張本人である。
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